一般と特定の財産的基礎・金銭的信用の要件を徹底解説

建設業許可を取得するうえで、「人(技術者)」の要件と並んで大きな壁となるのが「財産的基礎(お金)」の要件です。「一般建設業なら500万円が必要って聞いたけど、具体的にどう証明すればいい?」「特定建設業の『財務諸表の要件』が複雑すぎて、自社の決算書でクリアしているのかさっぱり分からない…」このように悩まれる経営者の方は非常に多いです。そこで今回は、埼玉県の手引きをベースに、一般建設業の「500万円の証明方法(必要書類)」を具体的に解説するとともに、特定建設業で求められる「決算書の4つの財産基準」について、できるだけ分かりやすく解説していきたいと思います。

目次

一般建設業の「500万円の資金調達能力」とは?具体的な必要書類

一般建設業許可を取るには、「500万円以上の資金調達能力」があることを証明しなければなりません。これは決して「500万円を国に没収される」わけではなく、「500万円規模の工事をきっちりやり遂げられる経済的な信用が会社にあります」という証明です。

埼玉県への申請において、具体的には以下の3つのいずれかのルートで証明します。

ルート①:直近の決算書(純資産)で証明する

直近の決算期の貸借対照表(バランスシート)の右下にある、「純資産の部(自己資本)」の合計額が500万円以上あれば、それだけでこの要件はクリアです。

【必要書類】直前1期分の決算書(財務諸表)

ルート②:手元の口座の「残高証明書」で証明する

「直近の決算が赤字で、純資産が500万円に届かなかった…」「設立したばかりでまだ決算を迎えていない」という場合でも諦める必要はありません。今現在、会社に500万円を用意できる力があることを、銀行の書類で証明すれば大丈夫です。

【必要書類】銀行などの金融機関が発行する 「預金残高証明書(原本)」

⚠️ 埼玉県の重要ローカルルール

埼玉県の場合、この残高証明書は「埼玉県庁が申請を受け付ける日」からさかのぼって1ヶ月以内に発行されたものでなければ受け付けてもらえません。そのため、他のすべての書類を揃え終わり、いざ申請に行くという直前のタイミングで銀行に発行を依頼するのが鉄則です。

ルート③:過去5年間、許可を受けて継続して営業している(更新・業種追加)

これは、すでに建設業許可を持っている会社が1回以上更新したうえで、「5年ごとの更新」をするときや、「新しい業種を追加(業種追加)」するときに使えるルートです。 許可を受けてから直前の5年間、ペナルティなどを受けずに真面目に営業を続けてきた実績そのものが、500万円以上の金銭的信用があるとみなされます。

特定建設業で求められる「4つの財産基準」

特定建設業許可になると、下請業者を連鎖倒産から守るために、お金のチェックが格段に厳しくなります。 一般のように「残高証明書を出せばOK」という抜け道はなく、直近の決算書(財務諸表)において、以下の4つの基準を「すべて」同時にクリアしていなければ許可が下りません。

手引き等では難しい専門用語が並んでいますが、専門用語を使わずに内容を見てみましょう。

基準①:資本金が2,000万円以上あること

「資本金」とは、会社を設立したときや増資したときに、オーナーが出資した「ビジネスの元手」です。会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)に載っている金額そのものです。これが2,000万円以上必要です。

基準②:自己資本(純資産)が4,000万円以上あること

資本金が「スタート時の元手」であるのに対し、自己資本(純資産)は、その元手に「これまで会社が商売で稼いで蓄積してきた利益」や「資本剰余金など」を合算した、貸借対照表の『純資産合計』に表示される数字です。これは帳簿上の数字ですが、会社の体力を示す重要な指標であり、4,000万円以上必要です。

基準③:欠損の額が資本金の20%を超えていないこと

「欠損の額」とは、簡単に言うと「過去の赤字の積み残し(マイナス)」のことです。
手引きにはややこしい計算式が書かれていますが、要するに「過去の赤字のせいで、ビジネスの元手(資本金)が2割以上食いつぶされている状態になっていませんか?」というチェックです。決算書上の赤字の累積が資本金の20%を超えていないことが求められます。

基準④:流動比率が75%以上であること

流動比率とは、「近々(1年以内)に入ってくる予定のお金」と、「近々(1年以内)に払わなければいけないお金」のバランスのことです。
要するに、「まもなく支払わなきゃいけないツケや借金に対して、手元の現金や近々回収できる売掛金が『75%以上』ちゃんと用意できていますか?」という、目先の資金繰りの健全性チェックです。これが足りないと、どんなに総資産が多くても黒字倒産してしまう危険があるため、厳しく見られます。

特定建設業の場合、この4つの基準を「5年ごとの更新時」にも常にクリアしていなければ許可を失ってしまいます。そのため、特定を持つ企業は日頃からの財務管理が極めて重要になります。

まとめ

建設業許可のお金の要件は、一般であれば「手元の通帳(残高証明書)」で比較的クリアしやすいですが、特定になると「決算書の健康状態」そのものが厳しく問われます。

自社の決算書を見て「うちの会社は特定に届いているのかな?」と不安になった方は、お気軽に建設業許認可の専門家である行政書士にご相談下さい。

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この記事を書いた人

埼玉県三郷市で、建設業の許認可や宅建業の免許申請等を中心に支援している行政書士です。
「Restart」という名前には、**“未来に一歩踏み出す人を応援したい”**という思いを込めています。
学び続ける姿勢を大切にしながら、依頼者の方の次の一歩に寄り添って参ります。
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